モータ起動トルク
モータの起動トルクとは、モータが停止状態から回転を始める瞬間に発生する力のことです。簡単に言えば、じっとしているモータが動き出すときに生み出すパワーのこと。この起動トルクが大きいほど、重い負荷でもスムーズに動かせるというわけです。実は、多くのモータは起動時に定格トルク(通常運転時の力)の2〜8倍ものトルクを発生させます。例えば、三相誘導モータなら定格の約2倍、単相誘導モータでは3〜4倍、直流モータに至っては5〜8倍もの起動トルクが生まれるんです。これがあるからこそ、エレベーターや工作機械、コンベアなどの重い機械も動き出せるわけです。
ただし、この大きな起動トルクには注意点もあります。起動時には大きな電流(突入電流)が流れるため、電源設備への負担が大きくなります。工場などでは、この対策として「スターデルタ始動」や「ソフトスタータ」といった特別な起動方式を採用することも。
また、用途によっては起動トルクの大きさを調整する必要があります。例えば、精密機器を動かす場合は、急激な起動は機器を傷める可能性があるため、起動トルクを抑えた制御が求められます。逆に、重い負荷を持ち上げるクレーンなどでは、大きな起動トルクが必要になります。モータ選びの際は、この起動トルクの特性をしっかり理解して、用途に合ったものを選ぶことが大切です。適切なモータ選定が、機械の寿命や性能を左右する重要なポイントになります。
【監修者コメント】
メカサーチ編集部
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