起動トルクとは?
起動トルクとは静止したモーターを動かすのに必要な最小トルクです。今回は、種類別特性や向上方法などについてわかりやすく解説します。
起動トルクとは

起動トルクとは、停止している機械や装置を動き始めさせるために必要な回転力のことです。モーターやエンジンが最初に動き出すときには、静止状態の摩擦や慣性に打ち勝つために、通常運転時よりも大きな力が必要になります。「始動時に必要なトルクが足りないと、機械がスムーズに動き出せず、故障の原因になることも」あるんです。
製造ラインの搬送コンベアやポンプ、大型ファンなどの設計では、この起動トルクを正確に計算することが重要です。特に重い負荷がかかる装置では、起動時の負担を考慮した適切なモーター選定が必須となります。
自動車製造では、エンジンの起動トルク特性を最適化することで、寒冷地でもスムーズに始動できる製品開発に活かされています。また、工作機械メーカーでは、起動トルクを制御する技術を取り入れることで、精密な動作と長寿命化を実現し、製品の信頼性向上に貢献しています。
モータ起動トルク
モータの起動トルクとは、モータが停止状態から回転を始める瞬間に発生する力のことです。簡単に言えば、じっとしているモータが動き出すときに生み出すパワーのこと。この起動トルクが大きいほど、重い負荷でもスムーズに動かせるというわけです。実は、多くのモータは起動時に定格トルク(通常運転時の力)の2〜8倍ものトルクを発生させます。例えば、三相誘導モータなら定格の約2倍、単相誘導モータでは3〜4倍、直流モータに至っては5〜8倍もの起動トルクが生まれるんです。これがあるからこそ、エレベーターや工作機械、コンベアなどの重い機械も動き出せるわけです。
ただし、この大きな起動トルクには注意点もあります。起動時には大きな電流(突入電流)が流れるため、電源設備への負担が大きくなります。工場などでは、この対策として「スターデルタ始動」や「ソフトスタータ」といった特別な起動方式を採用することも。
また、用途によっては起動トルクの大きさを調整する必要があります。例えば、精密機器を動かす場合は、急激な起動は機器を傷める可能性があるため、起動トルクを抑えた制御が求められます。逆に、重い負荷を持ち上げるクレーンなどでは、大きな起動トルクが必要になります。モータ選びの際は、この起動トルクの特性をしっかり理解して、用途に合ったものを選ぶことが大切です。適切なモータ選定が、機械の寿命や性能を左右する重要なポイントになります。
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