5相ステッピングモーターの原理
5相ステッピングモーターの特徴は、高精度な位置決めと滑らかな回転が実現できることです。具体的には、通常の2相ステッピングモーターが1回転あたり200ステップ(1.8°/ステップ)であるのに対し、5相モーターは1回転あたり500ステップ(0.72°/ステップ)と、より細かい制御が可能になっています。
仕組みとしては、5相ステッピングモーターは名前の通り5つの相(位相)を持っており、それぞれの相に巻かれたコイルに順番に電流を流すことで回転します。5つの相があることで、磁極の切り替えがより細かくなり、その結果として角度分解能が向上するんですね。
また、5相モーターの大きな特長として、低振動・低騒音があります。ステップ角が小さいため、1ステップごとの回転による振動が少なく、結果的に滑らかな動きを実現します。特に低速回転時の性能が優れていて、精密機器や医療機器など、振動を嫌う用途に適しています。
トルク特性も優れていて、2相モーターと比べると同じサイズでも高いトルクを発揮できます。これは5つの相が効率よく磁力を発生させるためです。具体的には、同じサイズの2相モーターと比較して約30%高いトルクを得られることもあります。
ただし、5相モーターは制御回路が複雑になり、ドライバーも専用のものが必要になるため、コスト面では2相モーターより高くなる傾向があります。それでも高精度な位置決めが必要な産業用機器や半導体製造装置など、精密な動きが求められる製造現場では広く採用されています。
ステッピングモーターの2相と5相の違い
2相ステッピングモーターは、90度ずつ配置された2組のコイルで構成されています。シンプルな構造で制御も比較的簡単なため、コストパフォーマンスに優れているのが特徴。一般的な2相モーターの1ステップあたりの回転角度は1.8度で、1回転するのに200ステップ必要になります。家電製品や簡易的な位置決め機構によく使われています。
一方、5相ステッピングモーターは、72度ずつ配置された5組のコイルを持っています。1ステップあたりの回転角度が0.72度と小さく、1回転に500ステップも必要なんです!そのため、2相に比べて格段に滑らかな動きと高精度な位置決めが可能になります。また、振動やノイズも少なく、高速回転時の性能低下も抑えられるんです。
どちらを選ぶかは用途次第。精度よりもコストを重視するなら2相、高精度な位置決めや滑らかな動きが必要なら5相が適しています。半導体製造装置や精密機器など、ミクロン単位の精度が求められる現場では5相が重宝されています。