位置センサの使用例
位置センサは、物体の位置や動きを検出する装置で、私たちの身の回りのさまざまな場所で活躍しています。工場の生産ラインから自動車、スマートフォンまで、実はあらゆる場面で使われています。自動車では電動パワーステアリング用の角度センサやEVバッテリー冷却弁の開閉検出が安全性とエネルギー効率を高め、ドローンや衛星ではIMU（加速度・ジャイロ・地磁気）やパネル展開用エンコーダが姿勢制御を担います。工場の搬送ロボット（AGV/AMR）は磁気ラインセンサやLiDARを併用して無人でルートをトレースし、医療分野では手術支援ロボットのリニアエンコーダがサブミリ精度の操作を実現。建設現場でも油圧ショベルのバケット姿勢検出やクレーン旋回角センサが作業効率と安全性を両立させています。さらに、スマート家電では掃除ロボットが自己位置推定を行い、スマートロックは扉の開閉位置を監視。ウェアラブルやXR機器の6DoFトラッキングは没入感を飛躍的に高め、スポーツ向けスマートシューズは歩幅やステップを可視化してフォーム改善を助けます。鉄道の軌道検測車やエレベータの昇降位置センサはインフラ保守を効率化し、農業では自動走行トラクターがGPS＋IMUで畝を正確にトレース。エンタメ領域でもアニマトロニクスの関節エンコーダや自動カメラドリーのレール検出が高度な演出を支えています。求められる精度は0.1 µmクラスから数 cmまで多彩で、位置“だけ”のデータは時系列に蓄積され、AI解析による故障予兆や最適ルート算出へと拡張中です。
位置センサの種類
位置センサーは、ものの「場所」や「動いた量」を測る計測器です。スマートフォンが画面の向きを判断したり、工場のロボットが正しい位置に来ているか確認したり──私たちの生活や産業のあちこちで役立っています。ここでは代表的な3タイプを紹介します。
光学式位置センサー
光を当てて、その反射や遮られ方を見ながら位置を測る方式です。数ミリから数メートルまで測れ、誤差は0.01 mmほどととても高精度。非接触なので対象物を傷つけずに済みます。タッチパネルや精密ロボットの位置制御など、細かい動きの把握が欠かせない場面で大活躍。ただし光を使うため、ホコリや水滴があると誤差が出やすい点には注意が必要です。
磁気式位置センサー
磁石がつくる磁界の変化を読んで位置や角度を測ります。回転なら0〜360°、直線なら数センチまで対応し、応答速度は1 ms以下と高速。構造がシンプルで壊れにくく、自動車のペダル位置検出や工場のバルブ開度監視など、タフな環境でも安定して働きます。ただし周囲に強い磁場や大量の金属があると、測定値がズレることがあります。
超音波式位置センサー
「ピッ」と出した超音波が跳ね返ってくるまでの時間をもとに距離を計算します。測定範囲は10 cm〜10 m程度、誤差は±1 mm前後。透明なものや色の濃さに左右されず測れるので、駐車場の車両検知や液面レベルの監視に向いています。温度によって音速が変わるため、精度を保つには温度補正が欠かせませんが、コストパフォーマンスは高めです。