温度センサの仕組み
温度センサの仕組みは、大きく分けると「熱電対」「測温抵抗体」「サーミスタ」「半導体式」の4種類があります。熱電対は2種類の金属を接合した部分で発生する熱起電力を利用するもので、-200℃から1700℃という広い温度範囲を測定できる優れもの。測温抵抗体は、温度によって金属の電気抵抗値が変化する性質を利用していて、白金製のPt100が代表的です。サーミスタは、半導体の抵抗値が温度によって大きく変化する特性を活用したセンサで、小型で高感度という特徴があります。温度が上がると抵抗値が下がるNTCタイプと、逆に抵抗値が上がるPTCタイプの2種類があるんです。
最近よく使われているのが半導体式温度センサで、ICチップの中に温度検知回路を組み込んだコンパクトなタイプ。デジタル出力タイプもあり、スマート家電やIoT機器との相性も抜群です。
温度センサの種類
温度センサは、スマートフォンの過熱防止から工場の製造プロセス管理まで、暮らしと産業を支える欠かせないデバイスです。ここでは代表的な3方式を、数字を控えめにしてご紹介します。
熱電対温度センサ
2種類の金属を合わせた接合部に温度差が生じると電圧が発生する原理を利用したセンサです。極低温から超高温まで対応でき、反応も素早いので、高温炉やエンジン排気のような過酷な現場で重宝されています。細くて丈夫な素線を選べば、限られたスペースにも設置しやすい点も魅力です。
測温抵抗体センサ
金属の電気抵抗が温度によって変わる性質を活用したタイプで、白金（Pt100 など）が代表格。安定して高い精度を発揮するため、半導体製造装置や医療機器など、わずかな温度差が品質を左右する工程で頼りにされています。長期間使っても誤差が出にくいのが特長です。
サーミスタ温度センサ
半導体の抵抗値が温度に敏感に反応する性質を利用した小型センサです。ほんのわずかな温度変化も検知しやすく、家電や電子機器の温度制御によく採用されています。手頃な価格で組み込みやすく、ヒーターやバッテリーの過熱防止など、身近な製品の安全性向上にひと役買っています。
非接触温度センサ
「非接触温度センサ」とは、対象物に触れることなく温度を測定できる便利な計測デバイスのことです。従来の温度計のように直接触れる必要がないため、高温の物体や動いているもの、アクセスが難しい場所の温度も安全かつ正確に測定できます。このセンサの仕組みは、物体から放射される赤外線を検知して温度に変換するというもの。すべての物体は温度に応じた赤外線を放出しているため、この原理を利用して-50℃から1500℃以上までの幅広い温度帯を測定できます。
製造現場では、生産ラインの温度管理や品質検査に大活躍しています。例えば、金属加工の際の素材温度チェックや、電子部品の過熱監視など、製品の品質を左右する重要な場面で使われています。測定精度は±0.5℃程度と高精度なものも多く、リアルタイムでのモニタリングが可能です。また、食品工場での加熱・冷却工程の管理や、建物の断熱性能検査、さらには発熱している機械部品の異常検知など、用途は多岐にわたります。コロナ禍以降は、非接触で体温測定ができることから、入館時の検温にも広く活用されるようになりました。